ごあいさつ


学術集会会長


第16回日本がん分子標的治療学会学術集会を2012年6月27日(水)〜29日(金)に北九州市小倉で開催することになりました。

第3回の福岡市、第8回の鹿児島市につづき、来年は8年ぶりに九州での開催となります。是非多くの会員の方々に参加して頂くために、プログラムを魅力的なものにすることはもちろんのこと、会員同士の親睦が深まり、かつ記憶に残る学会にするべく準備を進めています。

今年の第15回学術集会会長山口俊晴先生(公益財団法人がん研究会有明病院)は「がん分子標的治療薬の実力と未来」という魅力的なメインテーマを設定され、プログラム内容の充実のみならず、会場が1か所に集約され、素晴らしい学術集会でありました。現在、今年の学術集会を参考にしながら、プログラム委員会からの提案を取り入れ、基本的には従来の学術集会の発表形式を踏襲し九州独自の工夫も加味した形で開催したいと考えています。

第16回のメインテーマは「次世代分子標的治療のための研究戦略」と設定させて頂きました。2000年にワインバーグ博士のレビューにまとめられていた6つの「がん」のホールマークに、今年になってさらに4つの概念が追加されたこともあり、今後多くの標的分子が治療候補として報告されると推測されます。また、過去10年間に分子標的薬も抗がん剤と同様に薬剤耐性化の出現も数多く報告され、臨床的に大きな問題となっています。この耐性の分子機序とその克服は次世代分子標的治療のための重要な研究課題と云えます。分子標的治療研究を考えるとき、本年の学術集会の基調講演で野田哲生先生が指摘されたように、日本での基礎研究の成果が創薬研究へと展開されにくい研究システムのウイークポイントをいかに克服していくかを若手の人材育成も含めて考える必要があります。さらに、がんの新たなウイークポイントを探索し、いかに攻略していくか「次世代分子標的治療のための研究戦略」が必須であり、現在も着実に社会的なニーズと期待が高まっています。来年はこのような期待に応える学術集会を目指していきたいと考えています。